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人に好かれる6原則


6.重要感を与える-誠意を込めて(1)


(1)

賞讃の哲学は、日常に応用して大いに魔術的効果をおさめることができる。

ていねいな思いやりのあることばづかいは、単調な日常生活の歯車にさす潤滑油の働きをし、同時に、育ちのよさを証明する。


ホールーケインはベストセラーになった小説を書いた有名な作家だが、もともと鍛冶屋のむすこだった。

彼の残した資産は、二百五十万ドルに上ったといわれているが、もし有名な詩人に対する讃美の論文を書かなかったとしたら、彼はまずしい無名の生涯を送ったかも知れない。

心からの賞讃には、このようなはかり知れない威力がある。



人間は、自分を重要な存在だと考えている。

人間は、ほとんど例外なく、そう思っている。

世界中どこの国の人間でも、そう思っているのだ。

自分は重要な存在なのだと思うように仕むけてくれる人がだれかいたら、おそらく大勢の人の人生が変るのではないかと思われる。



(2)

講師のローランドは美術工芸も教えているが、工芸の初級の生徒クリスの話をつぎのように伝えている。

クリスはもの静かで、内気な、自信のない、したがって目だたない男の子だった。

上級クラスに進むことは、生徒にとっては大きな誇りであった。

彼の心の奥に燃えさかる情熱の火を見る思いがして、わたしは、強い感動を覚えた。

「クリス、どうだね、上級クラスに入れてあげようか?」わたしのことばを聞いたクリスの顔は見ものだった。

十四歳の恥ずかしがり屋の感激にあふれた顔!うれし涙を懸命にこらえているようすだ。

「え!僕を?ローランド先生、ぼくにそんな力がありますか?」

「あるとも。君には十分それだけの実力があるよ」。

わたしの目にも涙があふれてきそうになったのだ。

わたしを見る眼はかがやき、声には自信が満ちていた。

「ありがとうございます。ローランド先生」。

人間は自分が重要な存在だと自覚したいのだという事実に対する教訓がそれである。

“あなたは重要な存在だ”と、この教訓を記した標示板を皆の目につくようにした。

また、わたし自身が、生徒はそれぞれ等しく重要な存在であることを常に忘れないように、教室の人口にかかげた。

人はだれでも他人より何らかの点ですぐれていると思っている。


だから、相手の心を確実に手に入れる方法は、相手が相手なりの世界で重要な人物であることを率直に認め、そのことをうまく相手に悟らせることだ。

エマーソンが、どんな人でも自分より何らかの点ですぐれており、学ぶべきところをそなえているといったことを思い出していただきたい。




(3)

R氏は、年老いた叔母に賞賛の原則をためしてみようと思った。

彼は、心から感心することができるものを見つけようと家のなかを見まわした。

「この家は1890年ごろに建てたのでしょうね」

「わたしの生まれた家も、ちょうどこういう家でした。りっぱな建物ですね。なかなかよくできています。広々として。……このごろでは、こういう家を建てなくなりましたね」。

それを聞くと、叔母は、わが意を得て、うれしそうに合づちを打った。

「この家は、わたしにとっては夢の家です。この家には愛がこもっています。

この家が建ったとき、主人とわたしとの長いあいだの夢が実現されたのです」


それから彼女は、R氏を案内して家のなかを見せた。

彼女が旅行の記念に求めてたいせつにしている美しい収集品を見たR氏は、心から讃嘆の声をあげた。

叔母が静かにいった。

「主人がなくなるちょっと前に、この車を買ったのですが、わたしは、この車に乗ったことかありません。……あなたは物の良さがわかる方です。わたしは、この車をあなたに差しあげようと思います」。

「叔母さん、それは困ります。もちろん、お気持はおりがたいと思いますが、この車をいただくわけにはいきません。

わたしはあなたと血のつながりがあるわけではありませんし、自動車なら、わたしも最近買ったばかりです。

このパッカードをほしかっている近親の方は大勢おいででしょう」。


R氏が辞退すると、叔母は叫んだ。


「近親!たしかにいますよ。

この車がほしくて、わたしの死ぬのを待っているような近親がね。だけど、そんな人たちにこの車はあげませんよ」。

「それなら、中古自動車の店へお売りになればいいでしょう」。

「売る!わたしがこの車を売るとお思いですか?

どこのだれともわからない人に乗りまわされて、わたしががまんできるとお考えですか?

この車は主人がわたしのために買ってくれた車ですよ。

売るなんてことは、夢にも思いません。あなたに差しあげたいのです。

あなたは美しいものの値うちがおわかりになる方です」。



広い屋敷にただひとりで、思い出をたよりに生きてきたこの老婦人は、わずかな賞讃のことばにも飢えていたのだ。

彼女にも、がっては若くて美しく、人にさわがれた時代があった。

愛の家を建て、ヨーロッパの各地から買い集めてきた品で部屋を飾ったこともあった。

ところが、今や老いの孤独をかこつ身となり、ちょっとした思いやりや賞讃がよほど身にしみるのだろう。

しかも、それをだれも与えようとしないのだ。

だから彼女は、R氏の理解ある態度に接すると、砂漠のなかで泉を見つけたように喜び、パッカードをプレゼントしなければ気がすまなかったのだ。



D.カーネギー

人を動かすより


ゆたか

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